壁にかかったカレンダーは3月のままで、気がついたら5月。5月の気候は最高。よく晴れて、すこし暑いくらいにあたたかく、湿度が少なくて気持ちがいい。こんな最高の時期に祝日を集めて大型連休にしちゃいましょうよと企画した人はすごい。春から新生活を迎えた人たちにとっても5月の連休なんてファーストステージをクリアしたセーブポイントみたいな役割だろうし、レベル12というか社会人12年目の僕だってそろそろ1週間くらい休みたかったです。初日と2日目はだらだらと豊かな時間を過ごし、3日目は展示でも観にいきますかということで東京オペラシティアートギャラリーの今井俊介展へ。ばかみたいな感想だけど、でかいキャンバスに色が塗ってあって、その前に立つと癒やされる。色がきれいだったので図録を買おうかなと思って立ち読みしたが、印刷ではくすんで再現できてなかったのでやめちゃった。じぶんの仕事に照らしてみると、僕たちはスクリーンという発光しているメディアを扱ってデザインしているのだから、もっと鮮やかで動いて楽しくてもいいよねと思えるような展示だった。
朝からJ-WAVEで坂本龍一の追悼特番をやっていて、ずっと聴きながら電車に乗ったり初台から新宿まで歩いたりした。生前に関わりのあった人が次々とゲストとして登場し、不在の人との思い出や、功績をふりかえる。コメントやトークのあいだに残された楽曲が挿入され、または録音された本人の声も流れる。そんな音声が、スカイツリーから電波となって放たれて東京中のあちこちの空気を満たしていると想像すると、たとえ受信機を持っていなくても、ラジオってすごくおもしろいなと思った。坂本龍一でなくても、たとえば毎週日曜日は朝から晩まで、あるアーティストだったり、あるバンドについて、みんなで話すような番組があってもいいだろうな。
ほんとうに僕がやりたいのは、ゆっくり時間をかけて、だれかの話を聴いてみたい。情報を得るためではなく、等倍で、おなじ時間を過ごすために。だれかの日記を読んだり、ポッドキャストを聴いたりするモチベーションは、そういう気持ちの延長線上でつながっているような気がする。そして、そういう気持ちがどんどん弱まっているようにも思う。コミュニケーションに対する憧れというか、飢えのようなものが、満たされつつあるのかもしれない。
しめきりを設定しないといつまでもかたちにできないので、なにも考えてないが11月の文学フリマ東京へ出店を申し込んだ。前回は2018年だったので5年ぶり。撮りためた写真を使ってポエジーに関する研究の成果をまとめるか、それに詩も載せてちょっとした詩集を編んだりしようか、どうしようかなって考えてるうちに11月になってそう。楽しいなあ。だれからも求められていないものをつくるのってほんとうに楽しいよね。生計を立てる仕事とはべつに、つくる場があるのは大切だ。