手持ちのiPhoneをiOS 16へアップデートした。写真の被写体を長押しすると背景から切り抜かれてコピーされ、他のアプリにペーストできるようになった。ハードウェアとソフトウェアが融合した途方もないテクノロジーの結晶が、拍子抜けするくらい直感的な操作と、漫画みたいなアニメーションで表現されていて度肝をぬかれた。そうそう、未来ってこういうことだよねと思った。いつのまにか訪れていた未来。いつのまにか暮らしていた都会。コンビニの買い物を腕時計で支払ったって、ドキドキしていたのは最初だけで、もはやなんにも思わない。
それはそれとして、ていねいにペンツールでなぞって髪の毛をきれいに切り抜く仕事などでごはんを食べている自分としては、精度のアドバンテージなんて時間が解決するのは目に見えていて、わかりやすく脅かされている。脅かすなら、さっさと奪ってほしい。つくることそのもの、目的の達成ではなく手段が楽しくて、そんな甘い考えでも仕事にできた時代を体験できて幸せだったね。