蛇口の水がお湯かってくらいの季節は、夜のぬるい風を浴びながらの散歩が気持ちいい。とか、ぼんやりと感傷に浸りながら川崎のまっくらな夜道を歩けるのも、僕が男性のかたちをしているからで、それが無意識だとしても特権的にふるまっているのだろう。粗大ごみに貼るシールを買わないといけないのに、コンビニへ行くたびに忘れて、ジャスミン茶とか、バナナが入ったクレープとかを買って帰ってきてしまう。携帯電話の待ち受けを粗大ごみの写真にしておけばいいのかもしれない。待ち受けとかいう言葉も死語だろうか。そんなふうに、どうでもいいことばかりを考えて、ほんとうに考えないといけないことを先送りにしている。
あした、会社へ行って感染したら、来週の仕事はどうなるのだろう。まあ、なんとかなるだろう。なんとかしようと思えば、たいていはなんとかなるのだし。そのための会社だし。そんなことは、あんまり考えなくていい。もっと考えないといけないことが、たくさんあるのだから。