さみしいなと思う。心にぽっかりと穴があいたようなさみしさ。このさみしさは、生きているかぎり抱きつづけないといけないものなのか、それともいつか満たされて感じなくなってしまうようなものなのか。もし、このさみしさを共有できたとしても、補いあうことができるようなものなのか。12回まで続いた野球の延長戦は同点で終わって、近所のコンビニまで歩いた。暗くて静かな街に、蝉の細くて長い声が響いている。こんな夜が、ずっと続きそうな気がしてしまう。ビニール袋のなかのアイスクリームが溶けないように、すこしだけ早足で歩く。もういい大人なのに、僕はさみしくてたまらない。