2022-06-29

会社の帰りに下北沢で降りて、B&Bという本屋で「往復書簡 ひとりになること 花をおくるよ」を買って読んだ。写真家の植本一子さんと、小説家の滝口悠生さんが、半年ほど送りあった手紙が載っている。そこで話されているのは、家族のこと、性別のこと、日記あるいは小説を書くこと、いなくなってしまった人のこと、そして、ひとりになること。一子さんの正直で切実な言葉に、滝口さんの真摯な返事が重なって、やりとりに胸を打たれる。

なので一子さん、なんか困ったりしんどいときに、あそこに行けばいいのではないかと思った行き先がうちだったときは、夜でも大丈夫なので来てみてください。娘は寝ているかもしれないし、僕も妻もしっかり歓待する余裕があるかわからないけど、心細いひとがやって来たら迎えられる家でありたいと思っているし、そんな思いがけない出来事を迎え入れられる人生でありたいと、僕も、たぶん妻も、思っています。

とても共感する。僕も、いつでも思いがけない出来事を迎え入れられる人生でありたいよな〜と思っている。家族だろうと友人だろうと、その関係性にありふれたラベルをつけようともつけなくとも、気の知れた人たちと助け合って生きていけたらいいなと思う。

野球の試合の時間はまちまちで、長いときはナイターだったら21時半まであるけど、短いときは21時前には終わってしまう。テレビ神奈川はヒーローインタビューの中継を終えると、用意していた時間の残りを埋めるように神奈川県の風景の映像へ切り替える。ドローンで空撮した三浦海岸は美しい。横浜DeNAベイスターズが試合に勝ったあとは、スタンドから応援団が「横浜市歌」を演奏しているのが聞こえる。横浜市で育ったこどもなら誰もが歌える(かもしれない)、小学校の校歌と同等におなじみのメロディ。野球を見るようになってから、こんな僕でもすこしは神奈川に思い入れがあったんだな〜と気づく。

手荷物は軽くしておいて、いつでもどこへでも行けるようにしておきたい。それが「思いがけない出来事を迎え入れられる人生」だと思うから。そう思いつつ、それなりに長くいた場所には愛着があるし、人間関係だっておなじだ。大切なものが増えていくと、部屋はどんどん片づけられなくなっていく。