Twitterでフォローされたアカウントを見にいくと、Bio欄に貼られたnoteやInstagramへのリンクに混ざって、ひっそりとポッドキャストのURLがあり、アクセスすると30分の音声ファイルが1本だけ投稿されている。再生すると、知らない人が小さな声でゆっくりと話していて、そのうしろに雨の音がずっと流れている。話を聞きながら、その人が暮らしている街では、その日は雨が降っていたのかもしれないと思った。それとも、マイクの音質が悪くて、電気信号のノイズが雨のように聞こえているだけなのかもしれない。20代であること。数年間のあいだ働かないでいること。北海道に住んでいること。でも、好きな人は東京にいて、恋愛がうまくいっていないこと。学生時代は宇宙人と呼ばれていて、大人になったら発達障害の診断を受けたこと。また気が向いたら話すかもしれないです。おやすみなさい。最後まで、僕は聞いていた。こうやって、たしかに誰かが話を聞いていることが、話している人がその事実を知らなかったとしても、とても大切なことのように思えた。