2022-05-26

かつて、渋谷に毎日通っていたころ。ごはんを食べる場所といえば、松屋の牛丼か、リンガーハットの長崎ちゃんぽんか、担々麺の上にカリカリに揚げたスペアリブを乗せた排骨担々麺(こっそり僕は「デブ麺」と呼んでいた)といった感じだったのだけど、それらの思い出の店は、駅前の大規模な再開発によりすべて潰されて更地になった。なんでもないようなチェーン店の牛丼屋だって、20代の青春が詰まっている人もいるんです。それからはマジで昼ごはんに困って、最終的には冷凍食品を詰めた弁当を持っていったりしていたけど。そしたらコロナ禍がはじまって、在宅勤務で昼ごはんに悩むこともなくなり、2年が経過。

最近はやっと出社するようになったけど、あの「デブ麺」もういちど食べたいな… と思い出すくらいは、おいしかった。検索すると、「デブ麺」の正式な店名は「亜寿加」だった。そういえばそんな店名だったような気もする。もっと調べると、実は閉店後に味を引き継いだ人がいて、渋谷の再開発エリアからすこし離れた別の場所に開店したと書いてある。マジか… と思って、思っただけでしばらく忘れていた。で、きょうの、なんもあてのない昼休み、そういえば!と思い出して、ひとりで行ってみたんです。

「デブ麺」改め「亜寿加」改め「Renge no Gotoku」という店は、かつて無料でナンがおかわりし放題でゲラゲラ笑いながら会社のみんなで通っていたカレー屋こと「カンティプール」があった場所の隣だった。「カンティプール」の話もいつかしたいけど、置いておく。その「Renge no Gotoku」とかいう店に入ると、中はふつうの最近のはやりのラーメン屋といった感じ。でも、運ばれてきた排骨担々麺は、まぎれもなくあの「デブ麺」そのものでびっくりした。しかも、店員さんから、ごはんつけますか?と尋ねられる。そうだった。「デブ麺」は担々麺をおかずにごはんを食べる店だった。いろいろ思い出して、ちょっと感動しちゃったな…。ぼんやり歩いたりする道や、てきとうに入ったりする店にも、誰かの物語はあるのだろう。たまたまそれが、僕にとっては「デブ麺」だったのだ。