会社の裏に世界でいちばん好きなラーメン屋があって、きょうはそのラーメン屋でチャーシュー麺を食べることに成功した。いつもほどほどに繁盛しているので、お昼どきは並んでいて食べられない日もあるのだ。だから、このラーメン屋でチャーシュー麺を食べるということは、わかりやすいラッキーとして、きょうの運勢が目に見えるバロメーターとなっている。ラーメン屋の近くには公園があって、公園というよりは渋谷のビルとビルのあいだのすこし大きめの喫煙所のような公園には、大きい桜の木がドスンと立っている。この季節は、街のあちこちで花が咲いているのを見るにつけ、なんだきみも桜だったのかと思う。いつも会っていたくせになんにも教えてくれないまま、何週間か限られたあいだだけ、ネタばらしのように花を咲かせる。会社の裏に世界でいちばん好きなラーメン屋があることは幸せだ。