2022-01-19

リーガルリリーというバンドの新しいアルバム「Cとし生けるもの」が発売された。Cは炭素を示していて、化学構造によって弱くもろい黒鉛にもダイヤモンドにもなりえる、その姿は人や環境とのつながりによって揺らいでいく人間の存在に似ている、という意味がこめられているらしい。どの曲も、とびきりにポップなのに、底抜けに暗くて、すごくいい。暗いものに触れていると、落ち着く。暗い人は、暗さを明かしてくれるだけ、僕に嘘をついていないような気がする。影があるから光は美しい。たぶんこうしたほうがいいのだろうなということはわかっているのだけど、疲れていて動けない。疲れていると、やさしくなれない。主電源が並んだ配電盤のスイッチをひとつずつ切っていくみたいに、大切にしてきたことをすこしずつやめていく。やめたところで、あんがいだいじょうぶだったりする。それを問題だと思う人がいなければ、問題などひとつもない。はじめからやさしさなどここにはひとつもない。